S.U.K.I
玄関の外で雪を踏みしめながら、足元を見てるとノートが頭にぶつかった。
頭を抑えると、目の前に立っている秀が見えた。
濡れたり汚れたりしてよれよれになったノートが頭の上からずり落ちて、中に書いてある文字が見えた。
『さみー中にいんぢゃねー。
家の中で待ってたら
いーのに。
バカか。』
少し震えた字が寒い中で書いたんだ、と感じた。
そっと隣に移動して秀と一緒に駅に向かう。
まだおぼつかない歩調に合わせてゆっくりと30分かけて雪道を歩いていった。
前々に買っておいた、切符2枚を持って無人の改札を通り過ぎた。
『行けるか?
着くのはきっと
明日の早朝だけど。
終点まで乗ればいいんだし
なんかあったら
無理すんなよ。』
もう着いていたがらん、とした最後尾の車両の長椅子に座った。