S.U.K.I
ふっくらとした青色の椅子に体を沈ませながら、秀が控えめにノートを出してくれた。
私は、優しさの詰まったノートをしっかり握って首を振った。
「煌は、大丈夫。だから、安心して。」
そう言うと、秀は、優しくぽんぽんと頭を撫でてくれた。
それと同時くらいに電車は、ゆっくりと発進した。
夜中に出る最終電車は、ゆっくりと動きだす。
この車両には、私たち以外に誰も乗ってこない。
前の車両には、次の駅に止まったとき、ふらふらのおじさんが何人か乗ったっきりで、あまり人も乗らない。
田舎の駅は、駅と駅の間が長いから一つ一つを通り過ぎるまでが長い。
いつの間にか寄りかかってきていた秀は、もう眠っていた。