S.U.K.I
そして、ノートをばっと、しまうとジャケットの襟を伸ばして首を窄めると、目を閉じてしまった。
なのにまだ、耳だけが真っ赤だった。
私も秀に寄り添うように、そっと目を閉じた。
揺り起こされたときには、もう終点の駅まで間もなかった。
すっきりと目を覚ましていた秀が目に入ると、なんだかホッとした。
『もうすぐだぞ。
目ぇ覚ませ!』
窓の外は、寝る前に見ていた世界とは違い、山がなく町の向こうには海がちらりと見えた。
まだ空が白んだ程度で、町の方はまだ暗い。
『ほら、海。
あの向こう側に
見えるだろ?
あこまで歩くけど
いい?』
秀の笑った顔に癒されて、この気持ちもいくらか軽くなった気がした。