S.U.K.I
電車に揺られて、やっと着いた駅は、雪の降る寒さとは違った潮風の寒さがあった。
無人の改札に切符を捨てて、小さな駅の中から出たとき見慣れた町とは違う、町が私たちを出迎えた。
道は、うろ覚えだったけどなんとなく町を下がった下の方に海が見えたから、そっち側に歩いていった。
駅が高台にあるせいか、町は緩やかな下り道だった。
時折吹く、冷たい潮風に向かいながら徐々に下りてゆく。
ふと、鼻を啜ると雪の降るあの、つんとした匂いではなくて潮の匂いがした。
「潮の匂いがしたね。」
秀にそう話しかけると、うん、と頷いていた。
ずーっと、降りていった坂道の下の方にカーブが見えた。
あのカーブは見覚えがあった。