S.U.K.I


小さな鳥居と、その鳥居とバランスのあった小さな神社。


こんなところにあるのも珍しい。


神社の後ろには、すでに崖の先端が見えそうだった。


すべてが、ぽつんとしていた。


その中で絵馬のかけてある場所だけが妙に浮いて見えた。


疲れたような秀をおいて、そっと立ち上がり近づいてみると、たくさんある絵馬の中で一際目につく絵馬があった。


すべてが古びて落ちそうなものばかりなのに、汚れてはいるものの、中では一番新しかった。


手を差し伸べて、その絵馬を持ち砂や土埃を払い、見つめた。



《俺はもう無理かもしれない。》



始まりは、そう書いてある。



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