S.U.K.I


どこかで見たような字だった。



《豊、稔、優、秀、幸
ごめん。許してくれとは言わない。》



そこには、知った名がありすぎた。


一発で分かる、その人だと知らせているようだった。

海の近くだからか、塩のようなのもついている。


それをすべて落として、次の文が見えたとき秀にもぎ取られた。


ひたすら静かに読んでいて脱力するように絵馬を離すと、ノートに何かを書いた。



『実はこれのために
来たのもあるんだ。
あってよかった。
煌、ありがと。』



最後の、ありがと。が滲んでいて手渡された絵馬の最後の文に涙が出た。



《俺が生きれなかった分、
幸せになってくれ。
     1月10日梅澤聡介 》



お父さんもきっと、これを知っていたんだろう。


だから、教えてくれたんだろう。



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