S.U.K.I
涙が出て、顔が真っ赤で、潮風にあてられた顔が痛かった。
肌寒いのに、繋いだ掌だけが暖かい。
上がりきった薄雲から出たり隠れたりしている暖かな太陽に照らされながら、幸せを感じた。
淘も、優も、お父さんも、聡介さんも、いつもは瞼の裏に隠れているみんなを、今日はいつもより多く思い出した。
きらきら輝いて、たくさんたくさん、笑ってた。
帰り道、長い長い坂道を二人並んで上がりながら、考えて、また泣いた。
『大丈夫か?』
「大丈夫、秀も…………いるし。煌、平気だよ。」
だって、この空が輝いてるときはみんな、向こう側で笑っていると思うから。
この坂道みたいに、長い長い道の向こう側で笑って、時間が来たら手を差し伸べて、待っていてくれると思うから。