S.U.K.I
真面目にそう思ってる。
だって、私も秀も、みんなと家族だから。
優しく書かれたたった5文字に、こんなに元気が出て、ポジティブ思考になってしまうなんて私が単純なのにも程がある。
きっと、それも、秀がいなかったら、出来なかったこと。
帰りの電車に乗り込んでボックス席を確保してから、そう思った。
前できょとん、とする秀に笑いかけながら瞳の奥を覗き込む。
澄んだ、綺麗な茶がかった黒が、私を見つめている。
「やっぱり、秀は《黒》だ。」
わけの分からなそうな瞳に私だけが納得する。
「昔ね、お父さんにゆわれたの。人に色を付けられる人になりなさいって。」
静かに耳を傾けてくれる。