S.U.K.I
そんなところが、秀のいいところなのは、前々から知っている。
見かけによらず、人のこと考えてたり、でも自分の意志は曲げないようなそんな人。
「黒って、混ぜすぎたら強すぎて全部が黒になっちゃうけど、考えて使えば深みが出るでしょ?…それと、同じなの。」
少し考えてるみたいだけど、ノートを出す気配がないところを見ると、今は聞くことに集中してくれている。
「秀が、そうなの。自分の意志が強いとこもあるけど、優しかったり厳しかったり、人を思っている人にしか出来ないよ。」
窓から入ってきた風が、私の頬を擦り抜けていった。
優は、今思えば正反対の《白》。
優しくしていたばっかりに、自分を殺し続けて、人に染まりすぎてしまっていた。
それでも、誰にも出せない特別な色を持っていた。
「お父さん……煌、ちゃんと見てるよ。見えてるよ…?」
泣くのは今日で終わりにしよう。