S.U.K.I
「八雲によると、すごいらしいよ。」
「何が?」
突然喋り始めた還梨に適当な返事を返しながら言う。
「だからぁ!穹くんの数だってー!バレンタインの。クラスの女子の半分が穹くん狙いだって、八雲ゆってた!」
目をきらきらと光らせながら還梨は、自信満々に言った。
自分の知っていることを教えきるまでは、話が終わらないのが還梨の悪い癖だ。
「で、八雲が好きな静菜って子がいんだけど、その学年のマドンナまでもが穹くんを落とそうと企んでんだって!」
どんなリアクションとっていーか分かんないよ…。
私は、深いため息を吐いて楽しさで瞳がきらきらと輝く還梨を見た。
「静菜って何、静菜?」
私は、ちょっと考えるふりして聞くと、還梨の代わりに何故だか中ちゃんがぼそりと言った。