S.U.K.I
「そんなに気、使わないでよ。それに、離婚してって言ったのは麻弥なんだ。」
「え……?」
「あのね、本当なら麻弥にも煌や還梨と同じくらいの弟がいたんだけど…」
中ちゃんは、そこで1回、深呼吸してから続けた。
「お父さんが酒乱で、お母さんに暴力したり麻弥に…暴力したりでさ。で、お母さんは、次の子を身籠ってたハズなのに流産しちゃって。麻弥、実の父親に兄弟とられたってゆーのが嫌で頼んだの。もう……、別れてって。」
中ちゃんは、息をゆっくり吐きだして言う。
「お父さんが酒乱になるまでは、世界一格好いいパパだと思ってたにな?一気に失望。まぢ、最悪だった。けど、還梨は、そんな麻弥でも仲良くしてくれた。何よりの支えだった。そんでこれからは煌も、勝手に麻弥の親友、だよ。」
そう言って笑った中ちゃんは、いつよりも輝いた笑顔で私を見てくれた。
「な…な…中ちゃぁん!」
「ちょっ、煌!泣くとマスカラどろんちょ…」
抱きついた中ちゃんの胸に顔を埋めようとして止められた。