S.U.K.I
足の裏に冷たさが染み付いても、私はじっと動けずにさっきまで穹がいた場所を見つめていた。
「煌。」
秀が私の名前を呼んでやっと我に返った。
私は、白い息を吐いたあと、冷たい廊下からゆっくり居間に戻った。
秀は、私が入ったのを見て襖を閉める。
廊下から居間に入り込む空気がなくなり、温かい空気に包まれた。
「穹にだっていろいろあんだよ。気にすんな、『お姉ちゃん』。」
秀にそう言われて、少しほっとした。
さっきまであの嫌な空気を感じてたのが嘘みたいだった。