S.U.K.I



足の裏に冷たさが染み付いても、私はじっと動けずにさっきまで穹がいた場所を見つめていた。



「煌。」



秀が私の名前を呼んでやっと我に返った。


私は、白い息を吐いたあと、冷たい廊下からゆっくり居間に戻った。


秀は、私が入ったのを見て襖を閉める。


廊下から居間に入り込む空気がなくなり、温かい空気に包まれた。



「穹にだっていろいろあんだよ。気にすんな、『お姉ちゃん』。」



秀にそう言われて、少しほっとした。


さっきまであの嫌な空気を感じてたのが嘘みたいだった。




< 54 / 316 >

この作品をシェア

pagetop