S.U.K.I
何だか、今朝はおかしい。
不思議な気分だった。
みんなの間を縫うように、居間を抜けて静かな外に出た。
しんしんと雪が降る音以外は何も聞こえない世界で、私と秀は立っていた。
「人いねーなぁ。大通りまで出るか?」
「……うん。」
不思議と秀の言葉に操られるように、私は、さくさくと雪を踏みしめて歩いた。
予想外に、朝の大通りは誰もいなくて私と秀だけがちかちかと変わってゆく信号を見ていた。
「なぁ、煌。」
「…ん?」
暖かなマフラーに顔を埋めながら秀の横顔に返事した。
やっぱり今日は、何かが変だ。
秀が私のほうを見てない。
いつもは、秀の横顔なんて見ないのに、今日はこれで何回目だろ?