S.U.K.I
還梨と中ちゃんもいたし、その他優と秀の友達なんかもちらほら、いた。
千歳と大河もいつもより静かで、私と心兄の言ったことをちゃんと聞いてくれていた。
しばらくして、中から看護婦さんが出てきて叫んだ。
「誰か、誰か!この中にAB型Rh‐の方いませんか?!」
最後のほうは声が擦れながらその看護婦さんは、叫んだ。
「血が…足りないんです!こちらにあるストックもRh‐なんて数が無くて…!ご協力お願いします!」
看護婦さんは、そこまで言うと、片っ端から血液型を聞いて回る。
人は皆、一向に首を縦には振ってくれないが、看護婦さんは、諦めずに聞いている。
助けようとして一生懸命になってくれてる。
そう思っただけで胸の奥が熱くなった。
がやがやし始めた手術室前の廊下で、私一人がぽつんと置いてきぼりだった。