S.U.K.I



「Rhなんとかって奴、分かんないけど俺、ABっすょ!血使って下さい!」



優の友達で野球部次期主将の田所くんがそう言った。


幸さんが嬉しそうに笑って、お願いします、と深々とお辞儀した。


田所くんも答えるように深々とお辞儀していた。



「それでは中へ…」



看護婦さんに案内された田所くんは、手術室に消えた。


別の看護婦さんが、入れ代わりで来て、他にいるのかを確かめながら聞き回る。


その直後だった。



「梅澤優さん、秀さんのご両親の方は…?」



控えめに出てきた別の看護婦さんが幸さんを呼ぶ。


AB型探しをしていた看護婦さんは状況が読めなさそうに、おどおどしていた。



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