S.U.K.I
「…あんたたちっ、医者でしょ?!…優くんと秀くん助けなさいよ!」
突然、発狂のような声がした。
みんなが振り返り、愕然と頭を垂れていた幸さんさえ声の方向を見つめた。
以外にもそう叫んだのは、淘だった。
涙でぐしゃぐしゃでもうなりふりも構わずに握り拳を今にもはち切れそうなくらい握り締めていた。
「…優くんと秀くんを奪わないでよぉっ…!!」
暗い廊下に、立ち上がった淘と、手術室の赤いランプと、非常口を印す緑のランプが異様な存在感を持っていた。
みんな、どことなく暗い顔をしていても泣く者なんか片手で数えるくらいしかいない。
その中で、淘は、啜り泣く声を抑えようと口に手を当てながら、看護婦さんに訴えた。
「ねぇ…二人を助けて?幸さんが可哀想だよ…!」
看護婦さんも、辛いんだろう。