お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
周りがいつも私の気持ちを当てる為、“うん、そうだよ”と答えるばかりで、自分からあまり気持ちを発してない。
それは言い訳かも知れない。
けど、元の原因はそれ。
後はいくら慎君でも言うつもりはない。
誰にも言うつもりがないんだ。
口に出せば、私はお兄ちゃんまでも失いかねないからだ。
「別に言いたくないなら言わなくて良い。ただ、心希には言っても良いんじゃねぇの?何年もずっと心配してるんだ。あいつの過保護は尋常じゃないとも思ったけど、心優が心閉ざしてる気がするからだろ」
「……っ……」
それはわかってる。
わかってるけど、言いたくない。
なのにどうして、今になって涙が溢れるんだろ。
唇を噛んでも、上を向いても、涙はポロッポロと溢れてしまう。
手にしてた箸を置き、慎君の手を握りながら「ごめんなさい……っ」と呟く。
お兄ちゃんに謝りたいけど、慎君はお兄ちゃんじゃないけど、自然と口から溢れた。
「どうした?」
私の頬を包む慎君の大きな手。
小さい頃から知り合いなわけじゃない為、こんなに大きくて、こんなに温かい手なんだと初めて知った。
増して行く涙。
下目蓋を撫でる慎君の親指。
私はお兄ちゃんに言わない事、私を嫌わないで欲しいという条件を前置きし、話そうと決めた。
それは心のどこかで、慎君が簡単に私を嫌わないとわかってるからだろう。
だって、クールな人だけど、本当に優しい人だって知ってるんだから―――……。
それは言い訳かも知れない。
けど、元の原因はそれ。
後はいくら慎君でも言うつもりはない。
誰にも言うつもりがないんだ。
口に出せば、私はお兄ちゃんまでも失いかねないからだ。
「別に言いたくないなら言わなくて良い。ただ、心希には言っても良いんじゃねぇの?何年もずっと心配してるんだ。あいつの過保護は尋常じゃないとも思ったけど、心優が心閉ざしてる気がするからだろ」
「……っ……」
それはわかってる。
わかってるけど、言いたくない。
なのにどうして、今になって涙が溢れるんだろ。
唇を噛んでも、上を向いても、涙はポロッポロと溢れてしまう。
手にしてた箸を置き、慎君の手を握りながら「ごめんなさい……っ」と呟く。
お兄ちゃんに謝りたいけど、慎君はお兄ちゃんじゃないけど、自然と口から溢れた。
「どうした?」
私の頬を包む慎君の大きな手。
小さい頃から知り合いなわけじゃない為、こんなに大きくて、こんなに温かい手なんだと初めて知った。
増して行く涙。
下目蓋を撫でる慎君の親指。
私はお兄ちゃんに言わない事、私を嫌わないで欲しいという条件を前置きし、話そうと決めた。
それは心のどこかで、慎君が簡単に私を嫌わないとわかってるからだろう。
だって、クールな人だけど、本当に優しい人だって知ってるんだから―――……。