お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
人の気持ちをわかったフリして、みんながみんな当たるわけじゃないのに、自信過剰。

一言交わすだけで疲れる。



「ユリちゃんが羨ましいくせに」



「それは自分がでしょ」



「私は別に!隆寬派だから!」



派閥なんて関係なく、その時々で行動してるくせに、何々派とか、そっちの強がりなんじゃない?



「仮に私と先生が付き合ってたとしたら、白百合なんてライバルにはならないから」



「は?」



「何言ってるの?あのユリちゃんに自分が敵うとでも思ってるの?」



「岡本さんは頭が良くても、恋愛に対してはダメなんだね」



…そうじゃなくて。

まぁ、恋愛なんて経験ないけどね。



「白百合の旧姓は平子-ヒラコ-。先生……慎君の大学の同じ学部だった先輩と学生結婚してる。残念ながら、既婚者で子持ち」



「「……えっ?」」



旦那の顔までは知らないけど、慎君が言うにはイケメン。

そりゃあ、結構な美人だし、相手も容姿端麗だろうとは思うけど、結婚してる事は事実。

興味がなくて、子供の年齢は知らないけど、幼稚園位だろう。

鳩が豆鉄砲を喰らったような顔してる2人をほかって、私はスマホをブレザーのポケットから出した。

≪白百合の事、話し掛けて来た女子に話しちゃった≫

そして、慎君にラインで報告。

口止めされてたわけじゃないけど、白百合が口外してないのには、理由があっただろうから。

仕事がやりにくいとか、何か。
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