お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
学年毎の先生で島を作る職員室。

会議室の席順に言うならば、議長席の宮前。

そして、1組担任である慎君は2番手席。

真っ正面から飛んで来る慎君の視線から逃げようにも、左右どちらに向けても、宮前から目を背いて悪態をついてるようだ。

元々、感じの良い生徒ではないけど。



「決まってないなら仕方ない。忙しいだろうが、3日以内にお兄さんと山嵜先生と話し合って決める」



「それは無理です」



「いや、もう岡本の気持ちは待てない。お兄さんと決める」



「そうじゃなくて、兄は今は出張で居ません」



「戻りは」



「後、8日ですかね」



「何を言ってるんだ!だったら岡本がちゃんと決めないか!」



それが無理でお兄ちゃんを呼ぼうとしたのは自分なのに、何で急に怒られるわけ?

決まらないものは決まらないのに。



「センター試験、受けるよな?」



「どうでしょう。行きたい大学がないので」



「だったら、受験せずに就職活動しろよ」



「山嵜先生から会社概要のパンフレットは何枚も貰いましたけど、興味ないです」



「興味云々では、何も決まらないだろ」



「でしょうね」



他人事のように返事をする私に、呆れながらお弁当に箸をつける宮前。

そろそろ私もお腹が空いたんだけど、まだ戻れないんだろうか。

購買の人気な惣菜パンはすぐに売り切れるし、菓子パンか、外に買いに出るしかなさそう。
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