お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
・気持ちの変化
「岡本。お前、髪の毛染めただろ。ギリギリに来た挙げ句、毛染めとは不良か」
「はい?」
「いくら控え目にしてもわかるぞ」
「……何の話ですか」
翌日、いつも通り登校した私は、謎の発言をする宮前に捕まった。
髪の毛は染めてないし、普段は予鈴の10分前に登校してて、遅くはない。
なのに、何でいきなり?
昨日の進路の話で、私は何かマズい事でも言っただろうか。
いや、言ってない。
「嘘吐け。これは染めてる」
「――触らないで下さい」
「生意気を言うな!」
しかも怒鳴られるなんて、本当に意味がわからない。
宮前が私の髪に触れるから拒否しただけ。
「失礼します」
何か八つ当たりされてるのか。
ローファーから上履きに履き替え、教室に向かいながら慎君にラインを送る。
≪宮前に髪の毛染めただろって言われた。しかも髪の毛触られて拒否ったら怒鳴られた。何かあったの?八つ当たり?≫
≪わかんねー≫
だが、慎君から情報は得られなかった。
八つ当たりならそれで論してやりたいけど、今のままでは余計に怒りを買いそうな気がする。
授業や休み時間に、会えば小言を言って来る宮前に嫌気が差す。
右を向いたら向いたで戸倉が居るし、友達が居なくても平気だったのに、明日から学校に来たくなくなって来た。
「明日の放課後にまで、俺のところに持って来るように」
「……無理です」
「良いから持って来い!!」
…な、何……?;;