お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
だいたい、フラフラとはプー太郎の事?

それとも、フリーターでも認めてない?

色々な職種を体験しながら、遣り甲斐を見つめても良いんじゃない?



「そんなんだから、心優は慎に貰って貰おうかと思ったが、これじゃ無理だな。いくら俺でも、お前みたいな女はあり得ねぇ」



「それを言われる前から、慎君には言われたよ。頑張っても妹でしかないって」



「「…………」」



「……頑張らなきゃ、妹にもなれないっ……」



「「心優……?」」



何で、涙が出るんだろう。

何で、こんなに苦しいんだろう……。

頭と心の相違点。

私、気付いてないだけで、慎君の事を、お兄ちゃん以上に思ってたのかも知れない。



「後片付けお願い……っ」



居たたまれなくなり、ブレザーとスクールバックを手に、部屋へと駆け込む。

私は慎君の何?

慎君は私の何?

友達?

お兄ちゃん……?

大切な存在だとはわかってるのに、見失い始めた気持ち。



「ヤヨ……」



ヤヨが居たら、こんな時に相談出来たのかな。

お兄ちゃんにも出来ない相談を、親友になら出来ただろうか。

窓から夜空を見上げながら、一番星を探す。

月明かりが照らす部屋からは、星がたくさん見えるのに、どれも同じ星に見える。

それは涙の所為だろうか。

いや、私の気持ちのせいだ。

お父さん、お母さん……。

私の一番星は、どこですか……?





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