お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
「ふざけんなよ。この変態が」



「し、慎君……?;;」



「何があら探しだ。生徒の下着覗き見て、戯けた事抜かしてんじゃねぇぞ、オッサン!!」



「山嵜先生;;」



キレてしまったのか、私でも黙ってた一言を放ってしまった慎君に、宮前までもが苦笑い。

ジリジリと迫って行く慎君。

宮前は“来るな”と言うように、手を前に突き出して、制止しようとするも、教頭と教務主任である門倉-カドクラ-先生のデスクで、逃げ道を失った。



「たかが生徒1人の評価でクビにでも何のか?心優の下着を覗いて、ただで済むと思ってんのかよッ!!」



「――ヒィッ!!;;」



「……岡本のお兄さん、呼びますね」



「…………;;」



…貴方1人で、ただで済まなくなってますが;;

お兄ちゃんが来たら、宮前はどうなるのか。

教頭は青ざめてるし、校長は校長で、ご立腹そうなのに……。

呼びに行った教頭、慎君の言葉で全て事態は把握しただろう。

そう思うと、下着を見られた事より、どんどんと騒がしくなるこの場に居る事の方が恥ずかしい。



「はぁ……っ」



溜め息を吐きながらしゃがみ込み、事の収集が早く済む事を願う。

じゃないと、校内中で騒ぎになりそう。

さすがにそれは、いくら私でも耐えられない。

“さすがに”と言いながらも、私はただのどこにでも居る女子高生でしかない。

人にあまり懐かないところがあるだけで。
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