お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
マンション入り口の死角から、姿を見せた慎に連れられた心優。
どこから聞かれてたのかはわからない。
だが、心優は頬を赤らめながら、自身の手を引く慎を見れない様子。
慎は慎で俺を睨んでるし、どうこの状況から逃げようか。
「東児、俺、酔っ払ってるのかぁ……?;;」
「ハハッ……;;謝るんだな;;」
「あ、謝る事ではないだろ!;;」
「お兄ちゃんっ!!」
「罠に嵌まってやったんだ。お礼を言え」
…そう、来るか?;;
そんな言い方があるか!?;;
「ハマったとしても、決めるのはお前たちだろーが!;;」
「あぁ。けど、嵌まってやっただろ」
「じゃー良い!心優を返せ!」
「変な事ばかり考えてるお前に、出来る事あるのか」
「うっ……;;」
…負けた……;;
天然なくせして、こういう事には鋭いヤツめ;;
「……アリガトウゴザイマス、シンクン」
「別に。とっとと入るぞ。風邪引く」
「……はい;;」
…悔しい……;;
何とも言い難い、この敗北感。
いや、今までだって、慎に敵わない事は多かったが、ここまで言い返せなかった日はない。
エレベーターという狭い気まずい空間をやり過ごし、我が家に入れば、味噌汁の良い匂い。
「暖かいな」
温度も、味噌汁の香りも。
柔軟剤に負けず、我が家に染み付いてる。
これぞ、家だな。
どこから聞かれてたのかはわからない。
だが、心優は頬を赤らめながら、自身の手を引く慎を見れない様子。
慎は慎で俺を睨んでるし、どうこの状況から逃げようか。
「東児、俺、酔っ払ってるのかぁ……?;;」
「ハハッ……;;謝るんだな;;」
「あ、謝る事ではないだろ!;;」
「お兄ちゃんっ!!」
「罠に嵌まってやったんだ。お礼を言え」
…そう、来るか?;;
そんな言い方があるか!?;;
「ハマったとしても、決めるのはお前たちだろーが!;;」
「あぁ。けど、嵌まってやっただろ」
「じゃー良い!心優を返せ!」
「変な事ばかり考えてるお前に、出来る事あるのか」
「うっ……;;」
…負けた……;;
天然なくせして、こういう事には鋭いヤツめ;;
「……アリガトウゴザイマス、シンクン」
「別に。とっとと入るぞ。風邪引く」
「……はい;;」
…悔しい……;;
何とも言い難い、この敗北感。
いや、今までだって、慎に敵わない事は多かったが、ここまで言い返せなかった日はない。
エレベーターという狭い気まずい空間をやり過ごし、我が家に入れば、味噌汁の良い匂い。
「暖かいな」
温度も、味噌汁の香りも。
柔軟剤に負けず、我が家に染み付いてる。
これぞ、家だな。