お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
「何、ニヤニヤしてるの?」



「馬鹿なんだよ、心優ちゃん」



…ウザい;;

ニヤけてもないのに、何で馬鹿呼ばわり;;



「腹減ったなー」



「あ、俺にも」



「……俺がやるのかよ;;」



味噌汁の匂いに導かれ、キッチンに立った。

そういや俺も東児も夕飯を食べずに慎を見張ってたんだよな。

仕方なく、東児の分も食事を用意する事に。

ホイル焼きが一つ冷蔵庫にあったが、2人で分けるには足りない。

卵焼きを焼き、冷凍の枝豆を流水で解凍。

後は何にしようか。

豆腐があるし、湯豆腐にするか。



「良いね、イチャイチャしないとこ」



「人前でするわけねぇだろ」



「あ、それはつまり、慎にも羞恥心あるのか」



「…………」



「ん、すまん;;」



人が黙々と食事を準備してる時に、東児はリビングの雰囲気を悪くしてやがる。

ソファーを男2人で占め、カエルを睨むヘビ。



「おーい。出来たぞー」


トレイに乗せたおかずと、東児のご飯を運んでビールに有り付く。

ガスストーブの前を陣取る心優の隣に座り、冷えた身体を暖めながらのビールが美味い。



「美味ぇなー」



「……俺にもくれよ;;」



「は?いるのか??」



羨ましそうにこっちを見て来る東児。



「どうぞ、東児君」



「ありがとう、心優ちゃん」



からかおうとした俺に気付かないのか、心優が東児に差し出し、箸まで持って来た。



「さすがだよ、心優ちゃん!俺には枝豆しか食わせる気が無い心希とは大違い!」



…あれ?;;
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