お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
「箸、持って来ただろ!?」



「調理台に忘れてたよ」



「ダサ」



「…………;;」



…別にダサくはないだろ;;

ただ忘れただけで、大きな忘れ物をする慎には言われたくない。



「テストを届けたの誰だっけー?」



「俺だけど?」



「…………;;」



…何て強気な男だ;;

開き直るとかじゃなく、平然と言いやがった;;

シーンとするリビング。

心優も東児も、突っ込めないんだろう。



「心優ちゃーんっ!一緒に寝ようかぁ!」



「あ、布団敷かなきゃね」



「お兄ちゃん、泣いちゃうぞぉっ!!」



酒があまり強くない東児は、いつの間にかビール2本目に突入し、顔を赤らめ、ベロンベロン。

心優に絡むも流され、泣き真似どころか本気泣きしながら、ソファーで慎に凭れかかる。

慎にまで避けられ、グチグチ言いながら、枝豆を皮ごと食べ始めた東児は、俺の部屋に敷かれる布団には辿り着かないだろう。



「慎の布団、心優ちゃんの部屋に敷いて良いんだぞぉ?」



「好きなところで寝れば良いんじゃないの?東児みたいに酔っ払ってないし、ウザくないから」



「くぅーっ!言うねぇ!」



…何キャラだ;;

チワワのチーちゃんに、迎えに来させろ!;;

このままだと、完全に狂った東児の面倒は見切れない;;




< 48 / 57 >

この作品をシェア

pagetop