お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
自宅にまた送って貰うも、痛みで動きたくない私に代わって食事の用意までしてくれた慎君。



「食べて行かないの?」



「学校で用意されてるからな。ま、夕方また来るから」



「んー。ありがとう、慎君」



ワンプレートランチから、ロコモコ丼に生まれ変わったハンバーグ。

慎君を見送り、テレビを見ながら遅い昼食。

卵は生のままで、キャベツは千切りというより短冊切りでも、味には何も問題なし。

尚且つ、過保護なお兄ちゃんよりも頼りになる慎君の心遣いに感謝。

学校ではお互い無関心で、“先生”と“岡本”呼びだけどね。

食べ終えて、丼を片付けて再び横になる。

病気ではないけど、何だか疲れた。

痛みが和らいで来たし、余計に。

洗濯物は浴室乾燥だし、ご飯も朝炊いてるし、お昼寝をしよう。

--ブーンッブーンッ



「……はーい……」



だが、ソファーに寝転がるなり、着信を知らせるスマホ。

病院に行った時のまま、マナーモードだけど、耳元で震えられたら嫌でもわかる。



『あ、心優ちゃん?』



「……何でしょうか」



電話の相手は、何故か慎君の元カノである五木沙羅紗-イツキサラサ-さん。

お兄ちゃんが5年も付き合ってる今カノ、赤嶺風花-アカミネフウカ-ちゃんの同僚らしく、我が家にも何回か来た事がある。

連絡先は交換したけど、いけ好かない。

やたら自分に自信がある人。

自分より下と判断した人を見下してる。
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