お兄ちゃんの罠に嵌まりまして。
ちなみに私も、見下されてる。



『今、外回りしてたら久しぶりに心希-シンマ-君に会ったけど、大丈夫なの?』



「何がですか」



『疲れた顔してたわよ?家族なら、ちゃんと見てあげなきゃいけないじゃない。心優ちゃんのたった1人の家族でしょ。風花だけに頼らないでね?風花は学生じゃないの。働いてるのよ!貴方がしっかりしてくれなきゃ』



「……話はそれだけですか?」



『え?』



「――慎君が待ってるので、それじゃ」



『しっ……?慎!?』



「……はぁー……。面倒くさ」



電話をブチ切り、ようやくお昼寝タイム。

慎君に未練があるかはわからない。

だけど、慎君には逆らえない彼女を知ってるからこその、彼の名前を出してしまった。

沙羅紗さんはともかく、慎君も怒りはせず“ふーん”で終わるだろう。

何か、私はお兄ちゃんより慎君と似てるところが多いんだよね。

さすがに容姿端麗でもなく、頭も良くはないんだけど、感情を表には出す事が得意ではないとことか、冷めて見られるとことか。

私たちだって笑うのに、笑うと“えー?2人って笑えるの?”とか言われたりね。

片やお兄ちゃんは、仕事モードの時はピリピリしてるけど、プライベートでは笑顔満載。

たまにヘラヘラしてるのか、笑って誤魔化してるのかと思い、癪に障る時もあるけれど、温かみのある人だとはわかってるけどね。




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