【超短編 06】美味しいケーキの作り方
台所に戻り、また砂糖を少しずつ入れ始める。
ホイッパーの抵抗が強くなってきて腕に力が入る。
メレンゲに角が立つほどになってようやく私は一息つき、携帯電話に彼へのメールを打つ。
メリークリスマス
それだけ打って送った。
それからすぐに返信が来た。
全く同じ内容のメールだった。
何もせずそのまま返信しても同じなのに、きっと彼はもう一度打ち直したに違いない。
彼もまた恥ずかしいほどにロマンチストだから。
いや、彼の場合は職業病なのかもしれない。
そして、私はそんな彼に影響を受けたのかもしれない。
メレンゲの泡を潰さないように卵黄を混ぜ合わせ、湯銭にかけたバターを入れてまた少し混ぜる。
紙を敷いた型に流し込み、オーブンに入れる。
時間を計るために時計を見る。
彼が丁度ソリに乗って月明かりに照らされる頃だ。
クリスマスに彼と過ごす事が永遠になかったとしても、私は恵子たちと同じように彼とずっと一緒にいようと思っている。
今年は彼にあの時の事をちゃんと謝ろう。
今までそう思ったことはなかったから、お菓子作りのように来年に持ち越したりしないはずだ。
ホイッパーの抵抗が強くなってきて腕に力が入る。
メレンゲに角が立つほどになってようやく私は一息つき、携帯電話に彼へのメールを打つ。
メリークリスマス
それだけ打って送った。
それからすぐに返信が来た。
全く同じ内容のメールだった。
何もせずそのまま返信しても同じなのに、きっと彼はもう一度打ち直したに違いない。
彼もまた恥ずかしいほどにロマンチストだから。
いや、彼の場合は職業病なのかもしれない。
そして、私はそんな彼に影響を受けたのかもしれない。
メレンゲの泡を潰さないように卵黄を混ぜ合わせ、湯銭にかけたバターを入れてまた少し混ぜる。
紙を敷いた型に流し込み、オーブンに入れる。
時間を計るために時計を見る。
彼が丁度ソリに乗って月明かりに照らされる頃だ。
クリスマスに彼と過ごす事が永遠になかったとしても、私は恵子たちと同じように彼とずっと一緒にいようと思っている。
今年は彼にあの時の事をちゃんと謝ろう。
今までそう思ったことはなかったから、お菓子作りのように来年に持ち越したりしないはずだ。