さかさまさか
ケンジと友達になったのは、高一の始め同じ美術になってからだ。
なぜか、人気がなく一年は2人だけ。

『2人みたいですね。』
『うん。』
『私は写真が好きなんです。』
『美術と兼ねてるから。』
『そう。』

『伊澤と言います。』
『山田です。』

とこんな始まりだった。
様な気がする。
得てして、友達になった瞬間なんぞ覚えていない。


こいつの、グレーゾーンに気付いたのは、
高2の春だった。

美術部の吉田先輩に陰影の取り方を教わっている時に頬赤らめた、ケンジがいた。
先輩はもちろん男だ。

一緒に買物に行くと照れずに洋服選んでくれるし。

かっこいいから、モテる
美形。オシャレだし。

美術一の女子の先輩に告白された。
『ラーちゃんさ。』
『うん。』
『どう思う?』
『先輩優しいし、ケンジにあってるよ。』
『いい人だと思うし。』
『うん。なら。』
『淋しくなるよ。』
『私たちは、相方でしょ。』
『うん。』
『デートしてみれば。』
『うん。』
あとで聞くと、この時自分が、そうなのかなー。じゃないかも~。と思っていたらしい。
日曜日に、駅前のデパートの美術展に行ったらしい。

先輩は、積極的にデパートの屋上でキスせがんだらしいが、ケンジは、気分が悪くなったらしい。

先輩には、散々愚痴られたが緊張じゃないですか?と取り繕った。

先輩も渋々納得した。


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