さかさまさか
愛しむ。
日曜日の朝が来た。
電話が鳴る。
艶さんだった。
『さくら。まだ寝てたのか?』
『ババァは、早起きだからね~。

『うん、うん、』


ワクワクした。

艶さんは、周りを明るくする。
『ケンジ?頼まれてくれない?』
『うん。うん。今日は無理だわ。ごめん
仕事の取材。』
『どうしょう。』
『ラーちゃんいるじゃん。』
『お父さんに頼んだら。』
『嫌だ。』
『でも、大切の人のためなんでしょ。』

時間がなかった。
仕方ない。
『お父さん。』
『さくら。』
『お願いがあるんだけど』
『ヨッシャわかった!!』
と、お父さんの弾んだ声がした。


あとは、ママに頼もう。
『ママ』
『今から帰る。』
『布持って帰るから。』
『手伝って』
『はいはい。』
と、電話を切られた。

和子さん嬉しそうですね。
と先生が嬉しそうに言う。
自転車で、三十分。
池尻と書いた表札。
ここが私の実家。


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