お前が愛しすぎて困る



ペットボトルの水滴が花南のパンツに染みていた。



「濡れてるぞ。」



「あっ。」


ハンドルから手を放してボトルを戻した。



「ありがと。」



それだけ言って、



花南は俺のいる方とは逆を向いて窓の景色を眺めていた。



これもいつものこと。



花南にとって、



車から見る景色はいつもと違って見えて楽しいらしい。



だから俺が最初に見る花南は大体後ろ姿。



今日は細身の薄い色のデニムパンツに低めのヒール。



コートは濃いグレーのチェスターコート。



花南がパンツをはくのもいつものこと。



こいつがスカートをはいてるのは見たことがない。



ていうか、はいたことあるのかって疑いたくなる。



前に聞いたら「制服はスカートだった。」って言ってた。



一応は、はいたことあるらしい。


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