お前が愛しすぎて困る



花南の背中を覆い隠すほど長くなった髪が目にとまる。



性格上あまりケアしていないだろうに、



サラサラでまっすぐな花南の髪。



頭にはニット帽がちょこんと乗っている。



いつも通りのカジュアルな花南のスタイル。



と、



「お前、ベルトしろ。」



「えー苦しくて邪魔。」



いつの通りのベルト嫌い。



「じゃあ後ろ行け。」



「え?今?...行けるかな..。」



動く車内と足場の狭さを目で確認して焦る。



これもいつものこと。



「シートベルト違反で捕まったら点数減るんだぞ。」



って言ったって、



「私まだケーサツ捕まったことないんだー。」



って目を輝かせやがったこいつ。



どうやら一度ぐらい捕まってみたいと思ったらしい。



「はー。」とため息をついた。


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