お前が愛しすぎて困る



だけど、



静かだったのはその時だけで、



少しすると



「おなか空いた。」



という花南の希望で、俺たちは一軒のうどん屋に入った。



真剣に『おしながき』を見る花南。



「手打ちうどんだって。美味しそー。」



「そうだな。」



本当は大分前、昔の女と来たことがある店だった。



入ってから思い出したんだからしょうがない。



花南には黙っておこう。


タバコも吸えないしビールも飲めないから、



「うーっ」と伸びをした。



運転してるときは全く眠くならないのに、暇になると眠気が襲う。



「…眠い?」



「少しな。」



目を瞑ったまま答えた。



「…このお店、」



「…ん?」



「来たことあるんだね。」



一気に吹き飛ぶ眠気。






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