お前が愛しすぎて困る
目を開くと、確信を得た花南が冷たい視線を向けた。
俺は否定も肯定も出来ずに黙ったまま。
でも花南は沈黙を肯定と受け取ったようで、
「やっぱりね。
なんか分かっちゃった。」
と素っ気なく言った。
…花南恐るべし。
それから眠気の飛んだ俺は無事にうどんを食べ終え、
食うのが人一倍、いや二倍も三倍も遅い花南を待った。
一人前食うのにどれだけかかるんだってくらい遅い。
丼の中の麺はすでにブヨブヨ。
つゆも冷め切った状態。
「旨い内に食えないなんて可哀想だな、お前。」
「うるさい!」
小柄な花南の前にあると、一回り大きく見える丼。
それをかかえるようにして食う花南を眺めながら時間が過ぎていった。