お前が愛しすぎて困る
画面には
“ 着信 江梨子 ”
と表示されていた。
今日は花南と会うって言ってある。
電話を掛けてくるのは珍しかった。
家で何かあったか?
いや、
多分そうだ。
あいつがこんなときに掛けてくるぐらいだからよっぽどのことがあったんだろう。
さっきまであんなに怒ってた花南も、
急に黙り込んだ。
「ん?何で怒ってたんだよ。」
「…うるさい。黙れ。」
すでにご機嫌斜め。
何なんだ、一体。
しばらく走って、車はナイト映画を上映するモールの駐車場についた。
今日は花南が前から見たがっていた映画を見る予定だった。
仕事柄、昼間の上映は見れないことが多い。
だから今日の映画を、花南はかなり楽しみにしていた。