お前が愛しすぎて困る
江梨子が、
ゆっくり、
感情を抑えながら話し出した。
“ 久しぶりに帰ってきた旦那に、
生活費のことや子供の話をした。
すると口論になり、
初めて手を上げられた。”
と、
ギリっとスマホを握る手に力が入る。
吸っていたタバコを、
放るように投げ捨てた。
「…今は?」
『すぐに家を出て行ったから、またしばらくは帰らないと思う。』
とりあえずは安心か。
「どうしたい?」
『……子供のこともあるから、今はまだ家を出られない。』
「…そうだな。」
『でも…稜が、』
「ん?」
『稜が、
側にいてくれればそれでいい。』
江梨子はそれだけ言って黙り込んだ。
また泣いてる音が聞こえた。
「俺は、側にいるって言ってるだろ。」
『…うん。』
「今日はもう寝ろ。」
『…うん。』
「明日、仕事前にそっちに寄る。」
『…うんっ。』