お前が愛しすぎて困る
通話を終了して、
新しいタバコに火を点ける。
江梨子の問題は、
俺にしてやれる事は少ない。
離婚と子供のことで、
俺の存在が旦那の耳に入れば、
間違いなく江梨子のマイナスになる。
でも、
これから不安定になればなるほど、
江梨子は俺に頼ってくるだろう。
ふーっと煙草の煙を吐き出した。
側にいると約束した。
それを破るつもりはない。
でもそれが、
あいつの命取りになるのならー。
もう一度、
ふーっと息を吐いた。
江梨子の問題と、
これから起こる事を覚悟する為に。
煙草の火を消して腕時計を見た、
22時39分。
チッと舌打ちして、
喫煙ルームを走り出した。