お前が愛しすぎて困る
花南と別れてから一時間が経っていた。
さっきまでの人混みが嘘のように、
モール全体が閑散としていた。
たまに通り過ぎる客が、
走っている俺を何事かと振り返る。
それを無視して、
花南がいるコーヒーショップへ向かった。
やっとたどり着いたそこは、
入り口の前に「close」の看板が見えた。
店内ではすでにスタッフが後片付けをしている。
調度そのとき、
背後を女性客二人が通り過ぎようとしていた。
「さっきの子大丈夫だったかなー?」
「ねー、凄く可愛い子だったから心配だよね。」
二人の会話が耳に入ってくる。
根拠はないけど、
すぐに花南のことだと思った。