お前が愛しすぎて困る



花南と別れてから一時間が経っていた。


さっきまでの人混みが嘘のように、


モール全体が閑散としていた。


たまに通り過ぎる客が、


走っている俺を何事かと振り返る。


それを無視して、


花南がいるコーヒーショップへ向かった。


やっとたどり着いたそこは、


入り口の前に「close」の看板が見えた。


店内ではすでにスタッフが後片付けをしている。


調度そのとき、


背後を女性客二人が通り過ぎようとしていた。


「さっきの子大丈夫だったかなー?」


「ねー、凄く可愛い子だったから心配だよね。」


二人の会話が耳に入ってくる。


根拠はないけど、


すぐに花南のことだと思った。



< 24 / 55 >

この作品をシェア

pagetop