お前が愛しすぎて困る
「…悪いけど、」
咄嗟に二人を呼び止める。
振り返った子達は、
ナンパだと思ったらしく、警戒したような顔をした。
「その子、どっちに行った?」
「え?あ、」
一人が言葉に詰まる。
心の中で「早く言え!」って悪態を付きながら、冷静を装って答えを待った。
「あ、あの、
ちっちゃくて髪長い女の子なら、
さっき外の海が見えるベンチにいました。」
外?
あいつ…。
チッと舌打ちして、
走り出そうとしたとき、
「あの!」
呼び止められて足を止めた。
「その子の少し離れたとこに、
ガラの悪そうな男の人達が三人いて…、
ずっとその子のこと見てたんです。
だから、早く行ってあげて下さい!」
その子の話が終わらない内に、
俺は走り出していた。