お前が愛しすぎて困る
高校からつるんでる隆太に隠し事はまず無理。
まぁ本気で隠すつもりもないけど。
無愛想な俺と違って無駄に交友関係の広いこいつは、どこからともなく情報を嗅ぎつけてくる。
例えるなら犬だな。
キャンキャンとよく吠えてうるさいのに、その人懐こさで気に入られる。
昔からそういうタイプだった。
「花南ちゃん元気?」
「いつも通り。」
花南は学部は違うけど大学の同期。
隆太ともそれなりに面識がある。
けど、
花南の“極度の人見知り”な性格が災いして、あまり親しくはない。
「お前じゃなくて、俺と会ってくれねーかなぁ。」
「あ?」
「…冗談だよ。じゃあな。」
入り口近くまで来て、隆太は自分の部屋に戻っていった。
俺は駐車場に停めていた車に乗り込む。
2日振りの愛車で少しテンションが上がる。
シートに座って感覚を楽しんでいると、ズボンに入れっぱなしだったスマホが振動した。