お前が愛しすぎて困る



花南が書いた物語だっていうのはすぐに分かった。


まだ書きかけのそれは


評価をするにはよく分からなかった。


けど、


童話の様な


絵本の様な


不思議なあたたかさを感じる話だった。


「…ん。」


空が明るくなりだした頃、


ベッドで眠る花南が目を覚ました。


本当は花南を置いて、


とっとと帰るつもりだった。


でも花南の世界に引き込まれた俺は、


そこから動くことができなかった。


閉じていた花南の瞳が開く。


どう説明しようか。


そう思っていると、


案の定、


俺を見た花南の瞳が


驚きで大きく開かれた。


やばい、叫ぶか?


そう思い、身構えた。


でも花南は、


「…ちょっと何やってんのよ!?」


勢いよく起き上がると、


俺の手から印刷した紙を奪い取った。





< 43 / 55 >

この作品をシェア

pagetop