お前が愛しすぎて困る
花南が書いた物語だっていうのはすぐに分かった。
まだ書きかけのそれは
評価をするにはよく分からなかった。
けど、
童話の様な
絵本の様な
不思議なあたたかさを感じる話だった。
「…ん。」
空が明るくなりだした頃、
ベッドで眠る花南が目を覚ました。
本当は花南を置いて、
とっとと帰るつもりだった。
でも花南の世界に引き込まれた俺は、
そこから動くことができなかった。
閉じていた花南の瞳が開く。
どう説明しようか。
そう思っていると、
案の定、
俺を見た花南の瞳が
驚きで大きく開かれた。
やばい、叫ぶか?
そう思い、身構えた。
でも花南は、
「…ちょっと何やってんのよ!?」
勢いよく起き上がると、
俺の手から印刷した紙を奪い取った。