お前が愛しすぎて困る
花南が着ていたのは、
まっ白いワンピースにライダースのジャケット。
足元はショートのミリタリーブーツ。
いつもの花南とは全く違う服装。
ストレートの長い髪には、
緩いパーマがかかっているのかふわっとしていて、
編み込まれていたり高い位置で結われている。
自分でやったんじゃないことだけは一目で分かった。
不器用なこいつが自分でできることじゃない。
だけど、どうして突然こうなったんだ?
誰にやられた?
目の前にいる花南は、
誰がどう見ても『おしゃれで可愛い女』だった。
顔も化粧でいつもと違う。
切れ長の大きな目がさらに大きくて、
唇も赤くキラキラしている。
見たことない花南が立っていた。
「...どう?やっぱりヘン?」
ワンピースの裾を持って、少し自嘲気味に笑った花南。
その顔すら驚くくらい違っていて、
あまりの綺麗さに一瞬返事も忘れて固まってしまった。
後ろにいた3人連れの男たちが、
「うわっ!めっちゃかわいー」
「ゲーノー人?」
っていう声で正気に戻る。
「っ!車乗れ。」
俺は花南の手を強引に引っ張って助手席に乗せると、
男たちを睨むように横目で見ながら運転席に移動した。