お前が愛しすぎて困る
「…ふーっ。」
マジで焦った。
外ではまだ犬たちがウロついていて、
花南を探して車に体当たりしていた。
その音に驚いたのか、
「きゃあっ」と花南が小さな悲鳴を上げる。
花南は相当怖かったのか、小さくなって震えていた。
「…とりあえず行くぞ。」
車を出そうとした瞬間、
左の脇腹の辺りに引っ張られたような感じがして目を向けた。
そこには震える花南の手があって、
花南は控え目に俺のシャツを握っていた。
ドクンッ
大きく心臓が鳴る。
『抱きしめたい』
そう思った。
抱きしめて安心するならさせてやりたい。
だけど、ここから移動することの方が先だと気付く。
「花南?大丈夫か?」
俺の問いにコクンと応える。
俺は震える花南の肩に腕を回すと、そのまま車を走らせた。