今宵、闇に堕ちようか
「院長、見つかってよかったですね」と結衣が言って、院長室を出ていった。
「仕事しろ、しごと」とゆっくり閉まっていく扉にむかって呟くと、俺はスマホを開いた。
ラインにメッセージがたまりにたまっている。
誰かかからはわかっている。玲子だ。見たくないから、見ない。既読にしたくないから、放置。
「ああ、そういうことか」と俺はラインの画面を見て、噴き出した。
結衣が必死にスマホを探したであろう理由がわかった。俺にラインしていたんだ。昨日の夜に。それを既読にしてほしくて、探したのか。
「やっぱ、仕事しろっつうの」
結衣のラインを開くなり、文字列を見て、目が細くなった。
『黒野さんが、受付の莉緒ちゃんと鍼灸の真田先生を誘って今夜は飲み会するみたいです~』
ハートマークのついたウサギのスタンプがクルクルと三回ほどまわって、止まった。
「はっ。そういうことかよ。やってらんねえ」と俺は、スマホをデスクに投げつけた。
子機にスマホがガツッとあたって、デスクの上で失速する。
すべてがつながった。社長への密告は玲子だ。いや、真田かもしれない。
玲子から話を聞き、俺を気に入らない真田が社長に話したのかもしれない。どっちにしても、俺に牙をむいたわけか。
「許さねえ」
問題は根本莉緒が、どの位置にいるか、だよな。うまくしたら、話が聞けるかもしれない。昼休みのときに、喫煙ルームで一緒になるからさりげなく聞いてみるか。
またコンコンとノックが鳴り、がらりと戸が開く。
「院長ぉ、給料明細いただいくの忘れてましたぁ」と、さえこがひょこっと顔だけ入れて声をかけてきた。
「ん?」とさえこの首を倒れると、俺をじーっとみてきた。
「なんか怒ってるでしょ。雰囲気が怖い」
「べつに」
なんでバレてんだよ。
俺はさえこから顔をそむけた。
「仕事しろ、しごと」とゆっくり閉まっていく扉にむかって呟くと、俺はスマホを開いた。
ラインにメッセージがたまりにたまっている。
誰かかからはわかっている。玲子だ。見たくないから、見ない。既読にしたくないから、放置。
「ああ、そういうことか」と俺はラインの画面を見て、噴き出した。
結衣が必死にスマホを探したであろう理由がわかった。俺にラインしていたんだ。昨日の夜に。それを既読にしてほしくて、探したのか。
「やっぱ、仕事しろっつうの」
結衣のラインを開くなり、文字列を見て、目が細くなった。
『黒野さんが、受付の莉緒ちゃんと鍼灸の真田先生を誘って今夜は飲み会するみたいです~』
ハートマークのついたウサギのスタンプがクルクルと三回ほどまわって、止まった。
「はっ。そういうことかよ。やってらんねえ」と俺は、スマホをデスクに投げつけた。
子機にスマホがガツッとあたって、デスクの上で失速する。
すべてがつながった。社長への密告は玲子だ。いや、真田かもしれない。
玲子から話を聞き、俺を気に入らない真田が社長に話したのかもしれない。どっちにしても、俺に牙をむいたわけか。
「許さねえ」
問題は根本莉緒が、どの位置にいるか、だよな。うまくしたら、話が聞けるかもしれない。昼休みのときに、喫煙ルームで一緒になるからさりげなく聞いてみるか。
またコンコンとノックが鳴り、がらりと戸が開く。
「院長ぉ、給料明細いただいくの忘れてましたぁ」と、さえこがひょこっと顔だけ入れて声をかけてきた。
「ん?」とさえこの首を倒れると、俺をじーっとみてきた。
「なんか怒ってるでしょ。雰囲気が怖い」
「べつに」
なんでバレてんだよ。
俺はさえこから顔をそむけた。