今宵、闇に堕ちようか
『ちゃんと話し合った?』
仕事が終わり、行きつけの飲み屋で夕飯といっしょに焼酎を飲んでいると、さえこからラインが届いた。
『なにを?』
『元カノと』
玲子と? 話し合う必要なんてないだろ。一方的に玲子が悪いんだから。
時間関係なくライン攻撃して、仕事の時は仕事でスタッフたちの文句を俺にいちいち言いにくる。
まるで、私がハナモリを一番わかってます。私がいなくなったら、こんなふうにハナモリのために話をしてくれる人間がいなくなるのよ、いいの?と責められているようだ。
実際、そういう心理があるから、院長室に何度も文句を言いにきているのだろうけれど。
俺にとったら、俺にスタッフの悪口を言いに行きつつ、俺の仕事の邪魔をしているようにしか思えないがな。
『うるせー』
俺は焼酎を口に含む。
『元カノは話をしたいだけかもしれないよ。きちんと最後のお別れをしたいんじゃないかな』
知るかよ。玲子の気持ちなんて。知りたいとも思わねえし。
俺は普通の恋愛はごめんなんだ。だから人妻に手を出した。それくらいわかれよ。
てか。そもそも、元カノと何かあった前提でラインしてくんなよ。
「すみません、遅れました」と背後から声がして俺は振り返った。
「ん」と軽く返事すると、斎藤結衣が俺の隣に腰かけた。俺は腕時計で時間を確認する。
「1時間近く怒られたのか」
「はい……。怒られたというか。私の施術の回し方が気に入らないみたいです」
結衣が芋焼酎をカウンター越しに立っている大将に頼んでから、肩をすくめて笑った。
「ここんとこ毎日だな」
「はい。真田さんからの当たりがきつくて。黒野さんも今朝、掃除の件で文句を言われました」
掃除、と俺は口の中で繰り返す。
今朝、俺が二階から院長室へとおりてきたときの風景を思い出す。
『元カノって決めつけるな』とさえこにラインを返しながら、玲子と結衣が何やら話し合っているのを横目で確認していた景色が蘇ってきた。
ああ、あのときに。トラブッてたのか。
仕事が終わり、行きつけの飲み屋で夕飯といっしょに焼酎を飲んでいると、さえこからラインが届いた。
『なにを?』
『元カノと』
玲子と? 話し合う必要なんてないだろ。一方的に玲子が悪いんだから。
時間関係なくライン攻撃して、仕事の時は仕事でスタッフたちの文句を俺にいちいち言いにくる。
まるで、私がハナモリを一番わかってます。私がいなくなったら、こんなふうにハナモリのために話をしてくれる人間がいなくなるのよ、いいの?と責められているようだ。
実際、そういう心理があるから、院長室に何度も文句を言いにきているのだろうけれど。
俺にとったら、俺にスタッフの悪口を言いに行きつつ、俺の仕事の邪魔をしているようにしか思えないがな。
『うるせー』
俺は焼酎を口に含む。
『元カノは話をしたいだけかもしれないよ。きちんと最後のお別れをしたいんじゃないかな』
知るかよ。玲子の気持ちなんて。知りたいとも思わねえし。
俺は普通の恋愛はごめんなんだ。だから人妻に手を出した。それくらいわかれよ。
てか。そもそも、元カノと何かあった前提でラインしてくんなよ。
「すみません、遅れました」と背後から声がして俺は振り返った。
「ん」と軽く返事すると、斎藤結衣が俺の隣に腰かけた。俺は腕時計で時間を確認する。
「1時間近く怒られたのか」
「はい……。怒られたというか。私の施術の回し方が気に入らないみたいです」
結衣が芋焼酎をカウンター越しに立っている大将に頼んでから、肩をすくめて笑った。
「ここんとこ毎日だな」
「はい。真田さんからの当たりがきつくて。黒野さんも今朝、掃除の件で文句を言われました」
掃除、と俺は口の中で繰り返す。
今朝、俺が二階から院長室へとおりてきたときの風景を思い出す。
『元カノって決めつけるな』とさえこにラインを返しながら、玲子と結衣が何やら話し合っているのを横目で確認していた景色が蘇ってきた。
ああ、あのときに。トラブッてたのか。