クールな先輩の心を奪う方法
う…そんな、優しく微笑まれたら、怒りなんて、吹き飛んでしまうじゃないですか。

一気に脱力した私は、保田さんのジョッキに自分のジョッキを軽く当てた。

「そんなふくれっ面してないで、食えば?」

「食べますよ。お腹ペコペコです」
そう言いながら、口に食べ物を入れた。

「…うそ、美味しい〜!」
「…旨そうに食うな」
私の食べっぷりを見て、クスクス笑ながら、保田さんも食べ始めた。

「こんなに美味しい物を、仏頂面で食べてる保田さんがおかしいです!」

「…だな」

…会社では見られない、レアな保田さんを見られた事がなんだか嬉しかった。

「…で?」
「…え?」

「俺のどこが好きなんだよ?俺に毎日怒られてばっかだし?好きになる要因が、全くないと思うけど」

…ここで、好きになった理由を言えと?

…恥ずかしくて言えない。

「…俺の事、落とすんだろ?
それくらい、言えないとな?」

…この人、なんだか、面白がってるよね、絶対。
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