クールな先輩の心を奪う方法
…食事が終わり、店を出て、会計に向かうと、私が財布を出すより先に、保田さんがさっさとお金お出している。

「…保田さん、今日は私の奢りだって言いましたよね」

「…そんなの冗談に決まってるだろ。
後輩に奢らせる先輩がどこにいる?」

「…」

「ここは素直に、払わせとくもんだ」

「…ご馳走です」

「ん」

そんな事言われたら、そう言うしかない。
会計を済ませた保田さんの後に続き、店を出た私は、アクシデントに見舞われる。

「…佐々木、大丈夫か?」
「…痛い、です」

若干呆れ顔で私の前にしゃがみ込み、手を差し出した。

最悪のアクシデントだ。恥ずかしくて、穴があったら入りたい気分だ。

「いつまでそんなとこにしゃがみ込んでんだよ、さっさと立て」

そう言って私の手を掴んで立たせようとするが、立ち上がらない私。

「佐々木…」
こうなったら、力ずくでと言わんばかりに私を立たせた…が。

「ッ!」
顔をゆがませた私を見て、保田はハッとした。

「…まさか、足くじいたのか?」
「…」

無言のまま、頷くと…
保田さんは、盛大な溜息をついた。
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