クールな先輩の心を奪う方法
「す、好きですけど、それがなんで急に、何もかも飛び越えて、婚約することに、なるんですか?」

「…母親が、婚約者もいないなら、お見合いしろって、うるさいから、代理婚約者を立てただけだ」

「…」
その言葉に、ショックを受ける。
私の気持ち知ってるくせに、代理なんて。

「…勘違いするな。
婚約者と名乗ったからには、俺は、佐々木を好きになる努力をする」

「…努力って」
それ、違う。

段々腹が立ち、いつの間にか、目は潤んでいく。…泣きそう。

「佐々木を傷てけたりしない」
「もう…して…」

…。
今、何が起きたの?
そっと、おでこに触れる。

「…一生懸命な佐々木は、嫌いじゃない」

そう言って、保田さんは微笑む。
…ズルいよ、その顔で、そんな事言われたら、何も言えなくなる。

そしてもう一度、おでこに触れるだけのキスを落とした。

…胸がキュッとなる。
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