クールな先輩の心を奪う方法
「そうだ・・・夢じゃなかった」
ふと我に返って、思い出した。

昨夜の出来事は夢じゃなく、現実だった。
そう分かった途端、一気に力が抜けた。

…私、保田さんの彼女に・・・なったのかな?
…なったんだよね。

いや、なってないのかな?
だって、だって・・・
傍にいてほしいって言われたけど、彼女になってくれとは言われてない、よね。

…分からない。
一体どっちなんだろう。

難しい顔のまま、朝食を食べ、身支度を済ませ、出社した。


「どうした、そんな難しい顔して?佐々木らしくないな」
「おはようございます、安藤さん・・・ちょっと難題にぶつかりまして」

「…そんなに難しい仕事なのか?」
「・・・ぇ??…いえ、仕事の事じゃないんですけど」

ハッと我に返り、苦笑いする。

「プライベートな事か?」
「・・・まぁ」

なんだかいたたまれなくなり、仕事を始める。

「オレでよかったら、相談にのるけど?」
「い?!…いえ…なんとか、自分で解決します」

そう言って微笑むと、仕事に集中した。

…言えるわけがない。仮にも、社内恋愛だ。
他言無用でしょう・・・こんな事は。

優しい聖にであっても、この事だけは言えない。


・・・仕事に集中してる間は、何もかも忘れられた。

「・・・佐々木、大丈夫か?」
「・・・へ?」
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