クールな先輩の心を奪う方法
しばらくすると、注文した品物が運ばれ、保田さんはビールを差し出した。

「ん」
「…へ?…ぁ、乾杯ですね、はい」

差し出されたジョッキに、自分のジョッキを当てようとしたら、ヒョイと、よけられてしまった。

「…あの」

困惑顔で保田さんを見る。

「…さっき」
「…」

「俺が、ラブホにお前を連れ込むとでも思ったか?」
「…少し、思いました」

「…お前にその魅力があるとでも?」
「お!思いませんけど…あの場合、考えない方が無理な話です」

どんどん声が小さくなる。
…⁈

突然、保田さんが笑い出し、私は目を丸くした。

「正論だ」
「へ?」

「オロオロしてる佐々木が面白くて、ちょっと、からかって見ただけだ」

「なっ⁈」

「悪かった…ほら、乾杯」
「…」
< 9 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop